第一話「いびつな子供」


昭和50年代5月、私は生まれた。
赤子の時の記憶は、映像として薄ら残っている程度で、状況理解と共にある記憶はない。
ただ、あるのは両親からの話による後付けの記憶のみだ。


私は遅くに生まれた子供だったようだ。
両親は九州生まれで、愛知に来て知り合ったとのこと。


父は戦後流行した愚連隊の残党。
簡単にいえば、ヤクザにもなれなかった落ちこぼれ。
訳あって追われる身となり、九州から愛知に逃れてきたと、本人から聞いた。


母は知的障害者。
12〜13歳の頃に親を亡くし、生活のままならない母は養護施設で育てられた。
その後、障害者雇用で紡績会社に就職したようだ。


そこで父と母は知り合った。


落ちこぼれの父ではあるが、家系は武士の末裔である。
武士の末裔ならではの厳しい教育と戦後の貧しさに耐え切れず、愚連隊になった身。
そういった小池家の鼻つまみ者であったにも関わらず、知的障害者の母と籍を入れてしまったものだから当然、本家には勘当されてしまったのだ。


話はそれるが、その後、私が5歳になるまで、本家の者がちょくちょく愛知まで顔見せに来たが、父の傲慢さから和解は叶わず、終世、本家とは絶縁状態である。


いずれにせよ、父と母は私を身籠ったことをキッカケに入籍した。
父が何故、知的障害者の母と婚姻関係に至ったのかは、全く分からないままである。


やはり、極端に子育てが上手くいかなかったことは間違いなかったようだ。
誰の手も借りれないままでの手探りの子育て。


赤子だった私を、母は一緒に熱湯に長時間入浴させ、意識不明にさせたこともあるようだ。
そのときは、母は慌てて裸のまま社宅を飛び出し、工場中を駆け回って父を捜したそうだ。


父の生い立ちと母の生い立ち。
これが私の一生を大きく揺さぶることになる。



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